在宅療養における褥瘡(床ずれ)の予防とケア

在宅療養者の生活を尊重しながら、褥瘡(じょくそう)治療・ケアを生活の中に組み込み、管理していけるように支援させて頂きます

褥瘡(床ずれ)の要因
Check!
◎個体要因:基本的日常生活自立度、病的骨突出、栄養状態、浮腫、多汗、尿・便失禁
◎環境・ケア要因:体位変換、体圧分散用具、座位保持、スキンケア、栄養補給、リハビリ、介護力
Point
1

どんな症状があるの(・・?

褥瘡(床ずれ)は、体重のかかる骨の突出している部位で、脂肪や筋肉の薄いところによく発症します。

いちばん起きやすい場所は、腰の部分(仙骨部や大転子部)、次いで足、特にかかと、そのほか肩甲骨やひじの関節などです。

 

褥瘡のできはじめは、皮膚が赤くなり、うすい水ぶくれ(水疱)ができます。この水疱が破れてびらんになり、乾いて治ってしまうこともあります。

皮膚が壊死すると、黄色から黒っぽくなり、周りが炎症を起こして赤く腫れてきます。

さらに感染を起こして膿がたまることもあり、そうなると高熱がでたりします。

Point
2

どんな治療法があるの(・・?

局所の周囲を湯で温めたタオルで蒸したり、入浴をし、血行を促進する方法があります。赤くなっている部分には触れないように注意します。

褥瘡(床ずれ)になってしまったら、皮膚を保護し、自分の治癒力で皮膚の再生を促す目的で、ドレッシング材を貼ります。ドレッシング材は皮膚の観察ができるように透明なものを選びます。

水疱が破れてしまった場合には細菌などの二次感染を防ぐために医師の処方のもとの、抗菌作用のある外用薬を使用します。

褥瘡が慢性化し、壊死が皮膚の深くに達したときは、壊死組織を溶かして取り除き、新しい皮膚を再生させる働きのある外用薬を用います。壊死組織が頑固に張り付いているときは、外用薬では溶かしきれないので、メスなどで取り除きます。

壊死組織が除去され、感染の兆候がない潰瘍の状態になれば、再発を防ぐために創傷被覆材を用います。

外用薬療法のみで治癒させていくのが困難な褥瘡の場合には、全身治療あるいは外科的治療が必要となることもります。しかし、患者様の全身状態などから外科的治療を行えず、治癒は望めないこともあります。そのような場合は、細菌感染などの合併症が起きないように努めていきます。

 

Point
3

どんな予防法があるの(・・?

褥瘡(床ずれ)を発生させないために、あらかじめ骨の突出部にかかる圧力を分散させることが重要です。

褥瘡ができそうな人の場合は、軟らかいものの方が圧力がかからず適しています。体圧を分散する寝具(エアマットレス・ウレタンフォームマットレス)などを使用し、骨への圧力を軽減します。そして2.3時間おきに体位を変えてあげます。また、日中座りっぱなしの患者様の場合は、15~20分ごとにお尻を持ち上げるようにします。

骨が出ている部分は、体や寝具の重みなどで圧迫されるのでスポンジを当てたりします。シーツや衣類の縫い目やノリのききすぎたシーツなどが皮膚を摩擦してしまうことがあるので注意が必要です。

皮膚が乾燥していると、皮膚が傷つきやすくなりますので、保湿クリームなどを使用し皮膚の保湿をおこないます。

全身を清潔に保つことも重要なポイントです。汗や飲食物で寝具や寝間着が汚れた場合も、すぐに取り換えるようにします。特に尿失禁や便失禁に対するケアは褥瘡の予防法とても重要です。

栄養状態も褥瘡の発生・進行にも大きく影響します。栄養が行き渡らないと、褥瘡はできやすくなり、できてしまった褥瘡は治りにくくなります。

 

褥瘡は介護をする人の温かいケアが必要です☺
褥瘡(床ずれ)が発生してしまって後も、局所治療と並行して予防に努める必要があります。
褥瘡の予防とケアは、看護する方ひとりで責任を背負わず、医師や介護・看護される人々と相談し、協力し合って進めていきましょう