移動・移乗のケアと転倒予防
動作の介助は、理学療法士や訪問介護士と連携して行います。
訪問看護師がまず、環境整備を行い、動く力を保つためのリハビリと、その動機づけとなる声掛けをさせていただきます。
QOL(生活の質)を維持し、要介護・寝たきり状態にさせないためにも、転倒予防が重要となります。
転倒の発生場所は居室・寝室が多いので、訪問看護師の果たす役割は大きいものとなります。
【加齢による変化】
筋力のほか、注意機能も低下します
加齢によって筋肉量が減少し、バランス感覚も低下するため、転びやすくなります。
視覚機能の低下や注意機能の低下も転倒リスクを高めます。
【病気による変化】
脳卒中の後遺症などで動きにくくなります
脳卒中後の片麻痺や半側空間無視、パーキンソン病などによる運動機能障害のほか、認知症における認知機能の低下も、転倒リスクを高めます。
【治療による変化】
薬でふらついたり、管につまずくことも
内服治療時の副作用として、めまい、ふらつきが生じます。
抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬などが原因に。
医療機器の管につまずく危険もあります。
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転倒のリスクを高める薬
💊眠気やふらつきがでやすい
・抗不安薬 ・抗うつ薬 ・催眠、鎮静薬
・抗精神病薬 ・抗アレルギー薬 ・鎮痛薬(麻薬系)
💊めまい、たちくらみが出やすい
・降圧薬(α遮断薬、ACE阻害薬、利尿薬 など)
💊体に力が入りにくい
・筋弛緩薬 など
【衣服のリスク】
サイズの合わない服や靴は危険
ズボンの裾を踏んだり、靴下がすべったりして転倒する例が多いです。
サイズの合わない靴、サンダルやスリッパなどのかかとが覆われていない靴も転倒を防ぎます。
【福祉用具のリスク】
メンテナンスが不十分だと、事故の原因に
ご利用者様の自立を助ける福祉用具も、ときに転倒リスクを高めます。
車椅子やつえ、手すりなどの不適切な選択、メンテナンス不足、操作ミスなどで転倒してしまうことがあります。
【住まいのリスク】
段差やすべりやすさ、足元の暗さをチェック
じゅうたんなどの段差につまずいたり、床ですべることにより転倒することがあります。
夜間のトイレなどで足元が見えづらいのもリスク要因のひとつです。普段の同線をよく観察する。
【介護中のリスク】
介護者の技術不足で転倒させてしまう
移動・移乗などの介護の際、介護者の技術が未熟なために転倒が起こることもあります。
ケアに関わらさせていただくスタッフ全員で事故内容を把握し、再発防止に努めることが大切です。