まずターミナル期の心身の変化に関してです。ほとんどの家族は自然死を知りません。心身の変化に戸惑い不安や恐怖を抱くと思います。
在宅では普段の生活のなかで徐々に心身の変化があらわれ、その延長線上に看取りがあります。
変化1
昼間も目を閉じ眠っている時間が長くなります。全身の機能や体力の低下によって起きていることが難しくなります。無理に起こさず寝かせたままで大丈夫です。話したいことがあれば先送りせず伝えてください。
変化2
食欲と食事量が低下し、ときには食べられなくなります。
消化吸収機能が低下するため、食べられなくなる。栄養面にとらわれず、本人が食べたいときに食べられるものを食べさせてあげる事が大切です。
変化3
興奮して大声をあげたりするせん妄が起きることがあります。体内に不要物質がたまるなどして起こる。1~2日で落ち着くので見守るだけで大丈夫です。薄明りにしておだやかに話しかけたり、本人の好きな音楽を流すのもおすすめです。
変化4
手足が冷たくなり、白~紫いろになってきます。血液の流れが悪くなって起こる症状で痛みはありません。やさしくマッサージしたりかけものや湯たんぽで保温するのもおすすめです。
変化5
尿や便の失禁が増えてきます。便や尿の排泄機能が低下しておきます。オムツで対処していきます。オムツ交換の際にワセリンやクリームなどを塗ると皮膚トラブルの予防になります。
変化6
唾液や痰でゴロゴロとした呼吸音が聞こえます。嚥下機能が低下して唾液や痰がたまります。
口腔用スポンジや指に巻いたガーゼで口の中にたまったものをやさしくふき取ります。
変化7
唇や皮膚が乾燥し、尿が出なくなってきます。自然経過として起きる脱水症状です。口腔内は湿らせたスポンジやガーゼで湿らせます。唇にはリップやクリームを塗ります。尿意があるのに出ない場合は看護師に伝えてください。
変化8
呼びかけに反応しなくなってきます。別れが間近になって反応する力がなくなります。返事がなくても耳の機能は最後まで保たれているとされています。最後に伝えたい事、感謝の気持ちを話すなどして過ごすといいと思います。
変化9
呼吸が不規則になり、一時的に止まることもあります。
あごをあげて肩を動かしながらの呼吸は数時間でお別れが訪れるサインです。横向きの姿勢にしてあごを下げると呼吸しやすいです。会わせたい人に連絡をして落ち着いて見守ります。
訪問看護をご利用の際は、脈拍がない、呼吸がとまるなど状態が急変した場合はステーションか主治医に連絡をしていただきます。